様々な曲を弾くうえで避けては通れないスケール
様々な曲を弾くうえで避けては通れないスケール。音大受験などでは必ず課題になる重要なテクニックです。
あなたは正しく指導できていますか?
- 何度教えてもぎこちない。
- 親指くぐりでつまずいてしまう。
- 必要のないアクセントがついてしまう。
そんなお悩みはありませんか?
これ実は、多くの先生が悩んでいる、けれど大きな声では言えない、よくあるお悩みのひとつなんです。

- なぜ生徒がぎこちないのか。
- 何が原因なのか。
- ピアノのスケールを楽に弾くために、本当に必要なことは何なのか。
実は、よくわかっていないまま指導しているケースも少なくありません。
今回は、親指くぐりでつまずく本当の原因と、その改善方法についてお話しします。
親指くぐりでつまずく本当の原因
親指がへこんでしまったり、ずっと突っ張ったりしている生徒はいませんか?
実は親指というのは、5本の指の中でも最も注意が必要な指なんです。
本来、人間の手はものをつかむための動きをするのが自然です。
例えば、グーとパーを何回か繰り返してみてください。
親指は手のひらに向かって、内側へ動いていると思います。
これが親指の自然な動きです。
しかし、ピアノではどうでしょう。
親指は横ではなく、縦(上下)に動かしています。
これが親指に事故が起こりやすい原因です。
親指だけが、本来の自然な動きとは相反する動きをしなければならない。
それに加えて、親指の付け根は太く、手首にも近い。
だから最も力が入りやすい指なのです。
そして、多くの生徒が見落としている重要なポイントがあります。
それが、
「親指の第二関節で重量を支えること」
です。
親指の第二関節の支えについて
親指の第二関節が突っ張る、あるいはへこんでしまうということは、そこで重量を支えられていないということです。
本来、親指は第二関節が前に出ることで、骨格で重量を受け止めることができます。
しかし、多くの生徒はこの支えが作れていません。
そのため鍵盤を押した瞬間に第二関節がへこみ、いわゆるマムシ指になってしまいます。
マムシ指になると何が起こるでしょうか。

まず、親指で重量を支えられないため、その重さを手首で受けることになります。
すると手首が下がります。
手首が下がると、親指がくぐるための高さがなくなります。
高さがない状態で無理やり親指をくぐらせようとすると、手首や腕に余計な力が入り、動きが固まります。
その結果、
- スケールがつながらない
- 親指の音にアクセントが付く
- 速く弾けない
- 疲れる
という問題が起きるのです。
つまり、親指くぐりができない原因は「親指をくぐらせる技術」ではありません。
その前段階である、
「重量を支える親指の第二関節」
が育っていないことが、本当の原因なのです。
スケールはバロックから現代まで、時代や様式を問わず必ず出てくるテクニックです。
そして、スケールで悩んでいる人の多くは、この問題を抱えています。
関節が弱い人だけではありません。
関節がしっかりしている生徒でも、力が抜けずにマムシ指になることはとても多いです。
だからこそ、親指の第二関節を育てることは、ほぼ全員に必要なトレーニングなのです。
親指ツンツンで何が起きているのか
では、親指を育てるために、どのようなトレーニングをしていますか?
グーパー運動を繰り返してみたり、テーピングをしてみたり、重りをつけて筋トレしてみたり、ハノンをひたすら弾いてみたり。
しかしそれは、ほぼ意味がないんですね・・。
なぜなら、親指で重量を支えられるようになるための根本的な解決にはつながっていないからです。
本質を見失った、ただやみくもに繰り返すフィンガートレーニングは、腱鞘炎への直行便です。
親指を育てる最も本質的で、最も簡単なトレーニング。
それが、ピアノ脱力法メソッド®公式教材「にじのねいろ」にも掲載されている「おやゆびツンツン」です。
これは、親指の第一関節が曲がらないように反対の手で持ち、第二関節を押し出してあげるトレーニングです。
多くの人は、第二関節が出ていません。
- だから重量を支えられません。
- だからマムシ指になります。
- だから手首が下がります。
- だから親指がくぐれません。
おやゆびツンツンは、その負の連鎖のスタート地点を改善するためのトレーニングです。
第二関節が出ることで、重量をそこで支えることができるようになります。
すると手首の高さも均一に保つことができます。
まず身体の前で行うことで、正しい親指の状態を認識することができます。
そのため、鍵盤に移動した後でも、生徒自身で親指の状態を確認しながら練習できるようになります。
しかも道具は不要です。
電車やバスの待ち時間など、いつでもどこでもできる、最も手軽なトレーニングです。
重量奏法がスケールを変える理由
スケールを弾いていて、
- 途中でつっかえる
- 音が均一にならない
- 疲れてしまう
という場合、それはパワーで乗り越えようとしている状態です。
では、なぜ親指の第二関節がそれほど重要なのでしょうか。
理由は単純です。
親指がくぐるための「高さ」が必要だからです。
親指がくぐるときは、2〜5の指の下をトンネルがあるようにして通らなければなりません。
そのためには、
- 手首の高さ
- 2〜5指の第三関節の高さ
を保つ必要があります。
手首の高さを第三関節の高さに合わせてみるとどうでしょうか。
普段よりもかなり高い位置に親指があることがわかります。
親指は弾いているというよりも、
「上から突き刺している」
ような感覚です。
これは、第二関節で重量を支えられなければできません。
もし第二関節で支えられなければ、
親指で弾く
↓
手首が下がる
↓
親指をくぐらせるために手首を上げる
↓
また親指で手首が下がる
という動きを繰り返します。
だから親指が出てくるたびにアクセントがつくのです。
だから曲の中でなめらかにつながらないのです。
スケールが苦手なのではありません。
親指の第二関節で支えられていないだけなのです。
今日から使える具体的な声かけ例
レッスンでよくあるのが、
「もっとなめらかに」
「アクセントをつけないで」
という抽象的な指示です。
しかし、それでは生徒は何をしたらいいかわかりません。
必要なのは、具体的な身体への声かけです。
例えば、
- 手首の高さは第三関節と同じかな?
- 親指をくぐらせても手首が落ちていないかな?
- 親指の第二関節を押し出してみよう
- 第二関節で腕の重さを支えてみよう
- トンネルをつぶさずに親指を通してみよう
このくらい具体的でなければ、生徒は再現できません。
上達が止まっている原因は、生徒の才能ではなく、やるべきこと、身につけるべきことが曖昧だからというケースも少なくないのです。
何日でスケールは変わるのか
おやゆびツンツンは、道具もピアノも必要ありません。
1日5分。
それだけで十分です。
小さな変化であれば、1週間ほどでも感じる人はいるでしょう。
そして1か月続けると、多くの人が親指の支えを習慣化できるようになります。
重要なのは練習量ではありません。
正しい動きを繰り返し、正しいクセをつけることです。
1か月後には、親指の第二関節で支える感覚が当たり前になっているはずです。
まとめ
親指は、最も事故が起こりやすい指です。
そして親指くぐりでつまずく本当の原因は、指使いではありません。
親指の第二関節で重量を支える能力が育っていないことです。
第二関節で支えることができれば、
- 手首が下がらない
- 親指がくぐれる
- アクセントが消える
- スケールがなめらかになる
という変化が起こります。
正しい方法を知り、正しく実践し、それを習慣化する。
それが楽にピアノを弾けるようになるための直行便です。
間違っても、腱鞘炎への直行便には乗らないでくださいね。
親指くぐりだけでなく、スケール・アルペジオ・オクターブ奏法など、あらゆるテクニックを分解して生徒に伝えられる指導力を体系的に身につけたい方は、ピアノ脱力法メソッド®ベーシック講座をご覧ください。
自分の指導のどこを変えればいいかわからない方は、まずピアノ指導の無料相談からどうぞ。
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