今回は、指先の脱力をテーマに書いていきます。
ピアノのレッスンを受けていて、「もっと脱力して」と言われることは多いと思います。
そこで脱力しようとすると、支えも一緒になくなってぺちゃんこになってしまい、逆に指をしっかりさせようとすると、すべてががちがちに固まってしまう、という経験をした方は多いかと思います。
指先だけ抜けていて、ささえはちゃんとある、というのが、やはり理想形です。
そこで、指先だけを抜くための有効なトレーニングをいくつか紹介します。
ピアノの脱力トレーニング「もちあげてすとん」
まず、ピアノ脱力法メソッド®公式教材「にじのねいろ」に掲載されている、「もちあげてすとん」というトレーニングが効果的です。ピアノの蓋またはテーブルの上にひじから先を置いて、一本ずつ指先を持ち上げて置く、というトレーニングです。見た目はとても地味ですが、指先の繊細さ、抜け感を養うにはとても有効なトレーニングです。
そのうえで、指一本ずつの支えをつくる必要もあります。独立分離でそれぞれの第三関節のおやまがしっかり出ていること(親指は第二関節)、そして手首の力を抜くトレーニングも効果的です。
指先の脱力が大事なピアノ楽曲
指が抜けている必要がある楽曲は、モーツァルトやショパンなどでよく見られます。このような作曲家は、手首を高めに保つ必要があり、そのためには「支えがあったうえで指先を抜く」という、相反することを同時に行う意識が必要です。
これができるようになれば、長く続くトリルも、困難なく弾けるようになります。
このようなトリルは、指が抜けていて、手首は高く、第三関節からの操作ができることが前提になってきます。指一本一本を動かすトリルの奏法になるので、ひじから固定するような、古典派や近現代のトリル奏法とは異なります。
こういった作曲家に合わせた様々な奏法を知りたいかたは、ぜひお気軽にご相談ください。