10代の学生がぶつかる壁とガイドのあり方

10代の学生がぶつかる壁、というか、本来だったら音大入学までにやっておくべきこと、というテーマで書いていこうと思います。

とはいえ、ピアノにめぐり合うタイミングも人によって様々、幸せなピアノとのかかわり方も人によって様々で、正解もなければ不正解もない、という大前提で読み進めていただけたらと思います。

目次

チェルニー・ハノンは必要なかった

自分の実体験から思い起こすと、まず思いつくのは、「チェルニー・ハノンはほとんど意味なかった」ということです。

日本のピアノ教育界では、これらはピアノ教則本のバイブルのような立ち位置で、私自身もチェルニー30番から始め、40,50,60番と音大入学するまでに頑張った思い出がありますが、これらがその後どのように役立ったかと言われれば、正直謎です。

ハノンも、後半に出てくるスケール・アルペジオは音大の試験にもなりうるので役立つところもあるかと思いますが、前半のほとんどはただの指の運動で、正しい指の動かし方を理解したうえで活用しないと、百害あって一利なしです。それよりは、ピアノ脱力法メソッド®の鍵盤でのトレーニングをやっているほうがよっぽど実践的です。

さて、チェルニーが思いのほか役立たないと思う理由に、これは個人の考察ですが、チェルニーの作品は「時代の後ろを向いていた」ということがあるかなと思います。

チェルニーが生きた時代というのは、ベートーヴェンやシューベルトのあと、時代はすっかりロマン派のウィーンです。彼はかなり早い段階で演奏活動から身を引き、ピアノ教育に専念した人物です。当時は作曲家・演奏家という線引きがなかったので、「音楽家としてはうまくいかなかった」という証明でもあります。

そこで、生徒のために膨大な数の練習曲を生み出すわけですが、そのほとんどが、初期古典派の作風にとどまっています。音楽的な構造にも特別注目することなどはなく、チェルニーがこのような作品を生み出しているころすでに、ショパンのエチュードが生まれ、さらにシューマン、リストのエチュードが生まれています。

技術的にも音楽的にも完全に別領域の進化したエチュードがあるにもかかわらず、チェルニーのそれというのは、初期古典派のモーツァルトやハイドンの一部の曲でしか応用できません。チェルニーを極めたからといって、その後続くショパン・リスト・シューマン・ドビュッシー・ラフマニノフなどにはとくに役立つことがないので、そこまでしてやる必要があるのかなと個人的には感じます。

どうしても必要な課題がある場合、その該当する曲の右手4小節、左手4小節を集中的にやれば十分です。

正しい奏法とトレーニング方法で始めるべき

正しい奏法やトレーニングを知らず、やみくもに続けている方も多いことでしょう。

たとえばマムシ指は、子供の成長とともに治ると思っている先生も多いと聞きますが、絶対に治りません。幼いころは問題なさそうに思えても、曲のレベルがあがっていくうちに、まるで玉ねぎの皮を1枚1枚剥くように問題は都度現れてきます。

そうしたところに、正しい方法での脱力と支え、第三関節のおやまの作り方、独立分離荷重、正しいスケール・アルペジオの弾き方、作曲家別の手首の高さや荷重のバランスなどを知らないと、ノリと勢いだけで乗り越えようとして腱鞘炎になってしまうことも多くなってしまいます。

テクニック講座を終わっておくべき

基本はピアノ脱力法メソッド®のベーシック講座(床・椅子・鍵盤)ですが、さらにテクニック講座まで修了していると、音大入学後かなり楽になると思います。

数あるピアノ奏法を100以上に分解し、その1つ1つを曲の4小節程度から学んでいきます。この方法がヨーロッパの音大でも採用されています。

テクニック講座を修了しておくと、楽曲のどこでどのようなテクニックが必要か、その練習方法などが自分で分解して理解できるようになります。音大というのは、ほかにもたくさんの科目の勉強もあり多忙なので、こういったところで余計なエネルギーを消耗させないというのは非常に大事なことです。また、音大卒業後、自分一人では何もできないという悲劇を回避することもできます。

ヨーロッパではバッハの平均律48曲を高校生で終えている

海外留学を視野に入れている人は、ここは押さえておくべきことでしょう。ヨーロッパの学生は、高校で平均律1・2巻とも全曲終えています。海外の音楽大学に入学すると、すでに終えている学生たちと同期になるため、それを見越してバッハを勉強しておくことは必須です。高校で終えているということは、大学入試の課題曲にもなっているということです。

オンライン無料相談・体験レッスンのご予約

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