最初に留学した頃には思いもよらなかったことですが、チェゼーナ音楽院を修了し、ローマのサンタ・チェチーリア国立アカデミアに入学し、まさかのイタリア長期滞在者になってしまいまして、仕事もするようになりました。
母校チェゼーナ音楽院が、ピアノ伴奏講師の募集を始めたのです。
それで、サンタ・チェチーリア国立アカデミアの、2年目と3年目をやりながら、チェゼーナで仕事するという、学生と仕事の二足のわらじ生活をするようになります。
管・弦・打楽器を担当し、なかでも配属されるのは多かったのは、ヴァイオリン、トランペット、トロンボーン、打楽器でした。
ピアノ伴奏講師というのは、基本、レッスンや実技試験、学内演奏会なので、ピアノを弾いていればいいだけなのですが、時々、実技の先生が忙しすぎて、試験前にもかかわらず放置されるかわいそうな学生もいます。
学部の卒業試験なのに、レッスンしてくれるのは前日に30分だけ、という、とてもかわいそうなヴァイオリンの学生がいました。
彼女は、先生に失望している、と言い、院は違うとこ行く、と言っていました。
それで、彼女の機械的な演奏に僕も我慢できなくてですね、もう、自らの立場もわきまえず、僕がレッスンを始めちゃいました。
それはローマのサンタ・チェチーリア国立アカデミアで室内楽を勉強しているから、そして、オペラのコレペティの現場の経験があったからできることでした。
僕がベートーヴェンのヴァイオリンソナタや、メンデルスゾーンのヴァイオリンコンチェルトなどを教えていました。
楽曲分析はこうやる、だの、ローマでまさに今勉強してきたことをフレッシュな状態でアウトプットするという、いろいろ出しゃばったことをしていました。
でも、アウトプットできる場所があったのは、今思えば幸せです。
そしたらね、卒業試験で彼女、満点と審査員優秀賞を獲って、卒業していきました。
同じことが、打楽器クラスでも起きました。
5人担当して、僕が打楽器コンチェルトとか教えて、
全員が満点、うち3人が審査員優秀賞を獲りました。
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